依頼されて絵を描くのを辞めにしました。
先週、ぼくは1週間ほど石川県の実家に帰っていました。
2019年が忙しくなりそうなので早めの帰郷という意味もあったのですが、それともう一つ理由があったんです。
それがぼくと4歳から付き合いのある幼馴染から「経営している居酒屋に作品を飾りたい」とずっと申し出を受けていて、それを果たすためです。
幼馴染から特に大きな注文は無く、好きなように描いていいような依頼でした。
ぼくはこれまでも度々、依頼を受けて作品を描いた経験があります。
それと同じ様に今回もこなせるだろうと始める前は予想していました。
しかし、現実はそのように全くうまく行かなかったんです。
作品を描いている最中に、お店の内装のことを考えたり、お店に飾られている他の作品のことを思い浮かべてしまったり、何より「幼馴染が気にいるような作品を描かないといけない」という義務感に苛まれました。
ぼくはこれまで自分の描きたいモチーフで自由に作品を描いてきました。
それで未発表作品こそ存在しますが、失敗作はありません。
一度だけ作品に用いた画材の関係で初めて失敗作ができてしまう状況になりましたが、その作品の名前を「失敗」と名付けることでどうにか成功に終わらせたこともありました。
ですが、今回は前述のような気持ちに苛まれてしまい、初めて失敗作を作り、それからも複数のキャンバスを無駄にしました。
その時に思い知らされたんです。
「自分って依頼で作品を作ることを望んでいないんだな」と。
ぼくは以前にデザインとアートの違いを以下のように述べています。
デザインは期待に応えること、アートは期待を裏切ること
— 画家ミヤハヤ@1月1日月額ファンクラブ開始! (@Miyamo_H) 2018年12月6日
幼馴染のような近しい関係になればなるほど、 ぼくの作風はデザインになってしまい、期待を裏切れなくなってしまったんです。
そして、それはアートと言えるモノではないと思いました。
ぼくはアーティストでいたいので依頼で絵は描けません
画家になった当初の動物画を描いていた頃は「龍を描いて欲しい!」、「狼を描いて欲しい!」とたくさんの依頼をいただき喜んで引き受けていました。
しかし、あの時はアートを描くということをよく分かっていない無知の頃だから出来たんだと思います。
今は良くも悪くもアートのことを知ってしまって、何がデザインで何がアートなのかを見分ける目を持ってしまったのです。
日本を代表する画家である裸の大将こと山下清さんのテレビドラマで「ぼくは人にお願いされて絵は描けないんだな」という台詞がありますが、今のぼくはその言葉に強く共鳴します。
ぼくも山下さんのようにアーティストでいたいので、すごく言いづらいですが依頼で絵を描くことは難しいです。
せっかく幼馴染から仕事依頼をいただいたんですが、自分の正直な気持ちを打ち明けました。
すると、幼馴染は「そこまではっきり言ってくれたら清々しい!」と言って笑ってくれました。
今後はぼくの作品の中で気に入ったモノをぜひ購入してください!
ぼくのこの思考はある意味でプロとして失格なのかもしれません。
プロの画家なら、せっかくあちらから仕事を依頼してお金を出したいと言ってきてくれてるんだから、食っていくためにも引き受けないとダメなのかもしれません。
しかし、今の自分はどうしてもそのような気持ちになれませんでした。
画家として食っていくためにお金にするのはすごく大切なことですが、自分はアートをしていたいので、現時点での最適解として後者を選びます。
幼馴染にもしっかりと伝えたことですが、今後は自分の作品で気に入ったモノを購入いただけたらと思います。
個展でもちろん作品を購入できますが、個展以外でも自分に連絡いただければ購入可能です。
こんなワガママな自分で本当に申し訳ないのですが、これが自分の正直な気持ちです。
もしかしたら、自分にいつか絵を依頼したいと思っていた方もいるかもしれません。
そのみなさんには「本当にごめんなさい!!!!!」とお伝えしたいです。
こんな自分ですが、今後も地道にアート活動を続けて行きますので見守っていただけたら嬉しいです。
今回はこのコトをどうしても報告したくてブログを書いたので、これで失礼させていただきます。
ミヤハヤでした!