100万人が亡くなった「ジェノサイド(大量虐殺)」、その悲しみを乗り越えたからこそのルワンダ人のやさしさ
ぼくは今月11日に33歳になった。
1986年という昭和生まれのぼくは歩けば1分で田園畑が広がる典型的な田舎町に生まれた。
小学校は築100年を超える木造校舎で、大型台風によって「3年生教室の屋根が吹っ飛ぶ」という逸話を残している。
同級生は小学1年時、たった9人という超少人数クラスで、教室を広々と使わせてもらえることだけが唯一のメリットだった。
そんな田舎育ちのぼくは幸運にも生活に何不自由するコトなく、毎日小学校に通い、家に帰ったら鼻水を垂らしながら天才てれびくん、忍たま乱太郎をテレビで観るという「健康で文化的な生活」を送り、スクスク育った。
じいちゃんは元海軍で時々、戦争の話をしてくれたけれど、自分の生活が余りにも争い事と無縁なのでどこか現実的に思えなかった。
そんな平和ボケしたぼくが8歳の時、遠く10000キロ以上離れたルワンダではぼくと同世代の少年、少女たちが「いつ殺されてもおかしくない」という危険に晒され、絶望の淵にいるなんて知る由もなかった。
そんな自分自身を恥じる。
100万人が亡くなったジェノサイド
1994年、ルワンダの2大民族であるツチ族とフツ族は深刻な民族対立を起こし、フツ族がツチ族を大量虐殺した。(俗に言われるジェノサイド)
その犠牲者数は約100万人と言われ、ルワンダ国民の10分の1にも達する。
虐殺の要因になったのは長年、国の主導権を握っていたツチ族がフツ族の恨みを買ってしまったことだ。
フツ族は「ツチ族はゴキブリだ」と罵り、爆弾や銃ではなく棍棒で次々とツチ族を撲殺していった。
今までは隣、近所で協力し合って暮らしていた街があっという間に地獄絵図へと化したのだ。
その地獄は100日間にも及んだ。
このジェノサイドの惨状を物語る驚くべき統計がユニセフから出されている。
70パーセントの子供たちが誰かの死を目撃している。
80パーセントの子供たちが家族を亡くしている。
90パーセントの子供たちが自分たちは死ぬと思っていた。
もはや言葉にならない。
ジェノサイドによって30万人もの子供たちが孤児になった。
そして、その多くがPTSDという精神的トラウマを抱えながら生きねばならなくなった。
ルワンダの首都キガリにある虐殺記念館で出会ったケニア人女性
このジェノサイドの様子やエピソードはルワンダの首都キガリにある虐殺記念館で知ることができます。
記念館にはジェノサイドの当時を物語る写真、実際の武器に使われた棍棒、今だに行方不明になっている方々の写真、更には白骨化した頭蓋骨までが展示されていました。
ジェノサイドは今からまだ25年前というごく最近の出来事です。
そして、今まで街で見かけた多くのルワンダ人たちがこのジェノサイドを経験していたかと思うと、胸が苦しくなります。
虐殺記念館で偶然、同じ時間にあるケニア人女性がいたのですが、彼女の事がとても印象に残っています。
虐殺記念館ではジェノサイドの現実を知らせるドキュメンタリービデオを10分ほど観てから館内を回るのですが、そのビデオから彼女はずっと大粒の涙を流していました。
そして、記念館内にある一つ一つの写真、壁に描かれたエピソードを噛みしめるようにゆっくりと読み入っていました。
その顔はやはり濡れていました。
ぼくには、彼女のその涙がジェノサイドの深い悲しみを代弁しているように見えたのです。
ルワンダ人のやさしさの秘密はジェノサイドを乗り越えた事にあると思った
ぼくはルワンダに来る前から「ルワンダ人はアフリカでも特にやさしい国民性だから」と友人に教えてもらっていました。
そして、実際に来てみて、どこに行ってもルワンダ人は歓迎してくれたし、とても親切でした。
参加したツアー中に「このルワンダ人のやさしさはどこから来るのか?」と深く考えたのですが、やはりジェノサイドを乗り越えたことが彼らのやさしさの大きな要因のように思えました。
ジェノサイドが終わっても、多くのルワンダ人は元いた場所で暮らしてかねばなりません。
そして、学校のクラスでは友達の親が自分の親を殺めた人だったり、近所の人が自分の家族を殺めた人だったりするわけです。
それでも彼らはそこで暮らしてかねばなりません。
その時に必要な精神性は「許す」という事です。
ルワンダの教育でもジェノサイドの歴史を子供たちに語らなければなりません。
その時に「もう民族は関係ないんだ。ルワンダは一つなんだ」と伝え続けているそうです。
そうやって国全体が「同じ国民同士が殺し合う」というこれ以上ない残酷な歴史を受け入れて、「許す」という精神性を持ったことでルワンダの人々は他者にやさしく、控えめな人が多いのではないかと思いました。
「やさしい世界をつくる」という目的のためにルワンダのジェノサイドを知ることは必要だった
ぼくはずっと掲げ続けているビジョンがあります。
それが「やさしい世界をつくる」ということ。
一人一人が他者に対して想像力を持ち、お互いの存在を敬い合うことができれば、多くの争いは無くなり、もっと楽しい世界になるとぼくは考えています。
その世界に近づけるためにもジェノサイドの歴史を知ることはぼくにとって必要なことだったと感じています。
他者の悲しみに関心を示し、その悲しみに対して想像力を発揮することこそが人をやさしくするのだと考えているからです。
みなさんは、今回のブログを読んでどのようなことを感じましたか?
参加したツアー
今回ぼくが参加したツアーは元青年海外協力隊で現地のルワンダ人と深い関わりのあるタケダノリヒロさんの主催するルワンダステディツアーです。
このルワンダスタディツアーに参加しなければ今回のようなブログはとても書けませんでした。
ルワンダに関心があり、ルワンダのことを深く知りたいと思ってる方には打ってつけのツアーです。
期間は5泊6日ですが、2日目終了時点で「このツアーに参加して良かった!」と心からおもいました。
ルワンダに一度行こうとおもってる方はぜひチェックしてみてください!
詳細記事:ルワンダ・スタディツアー「START」開催日程 | ルワンダ・スタディツアー&旅行コーディネートのアフリカノオト
アフリカ渡航 支援者様一覧
ぼくの3度目の個展やポルカでご支援してくださった66名のみなさんです。
このみなさんのお力添えによってぼくはルワンダに行くことができました。
誠にありがとうございます。
尚、ほとんどの方々がぼくの設定した大口支援額を超えていたため、感謝の気持ちとして全員を大口支援者としてお名前を大きくさせていただきした。
みなさまには本当に感謝しております。
※もし名前の記載のなかった方がいましたら、ミヤハヤまでお教えください
山崎亜紀子様、八木仁平&まさみ夫妻様、ともみ様
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